逃げててもしょうがない。
痛みから、傷つくことから、
逃げていても何も変わらない。
一生逃げ回っているわけにもいかない。
それは分かってはいるけれど、
逃げないことで受けるであろう傷、
逃げないことで付けてしまうであろう傷、
その痛みを思うと、足がすくむ。
たった一歩、踏み出してしまえば、
前に進めるかもしれないのに、
その一歩を踏み出せない。
「逃げてちゃこじれちゃうだけだよ~」
親友がそう言う。
分かってる。
逃げれば逃げた分だけ、
追いつかれた時に感じる痛みと傷は、
自分も相手も深くなる。
それは、分かってる。
けど、受け止めるだけの強さが今はないの。
踏ん張って立ち続けるだけの気力が今はないの。
転んだら、沈んだら、
また立ち上がればいい、また浮かび上がればいい、
ただ、それだけのことだと分かってはいるけど、
今転んだら、今沈んだら、
今度は本当に一人では起き上がれない気がするの。
一人では這い上がれない気がするの。
また前みたいな不安定な精神状態で、
何をするかわからない危なっかしい生活を
再現することになるのかと思うと、
怖くて踏み出せない。
また、誰かに心配かけちゃいけないって、
一人で抱え込んでしまうような生活はしたくないの。
考えることから逃げていれば、
行動することから逃げていれば、
少なくとも、今だけは、表面上の穏やかな生活が手に入る。
私が手に入れたいものは、
表面上の穏やかなだけの生活ではないけれど、
いつ出会えるか分からない幸せに向かって、
ひた走る元気ももうない。
いっそ、世の中から「愛」なんてもの、
なくなってしまえばいいのに。
そんなくだらない事を思いながら、
のらりくらりと逃げる日々が続く。
ピリオドを打てるのは、自分だけ。
他の誰でもない、自分だけ。
けれど、ピリオドを打つ勇気もない。
いつの間にこんなに弱々しい人間になっちゃたんだろ。