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書き手と読み手に求められること
 いくつかの話を聞いて、個人的に思うところを書いてみる。

 エキブロ総合病院の「ご意見お願いします」にトラバ。
 エキブロ総合病院さま。しつこいトラバでごめんなさい^^;


専門家としてブログを書く

 個人的なものとして書いている以上、有料または公的機関や企業が提供するものと同じだけの事を求めるのは、間違っていると思う。が、専門家として書く以上、趣味で同じ事を書いている人や、ただの評論家として書いている人と同列に置けないのは認めるべきだろう。

 例1
 証券取引所や証券会社に勤めています、と名乗る人が個人の趣味でブログを書いたとしよう。確かに、証券取引所や証券会社がサイトで載せるデータに対する責任と同じだけのものを求めるのは酷だろう。
 しかし、自らがその道の専門家であると名乗っている以上、素人はその情報を信じるのだと言うことを念頭においておく必要がある。それを踏まえた上で、書き方や提供方法を十分考慮しなければならないだろう。
 その情報を元に株の取引をした人が失敗したからと言って、ブログの書き手に対して法的責任を負わせることは出来ないかもしれない。しかし、そこには十分予測しうる範囲の影響を考慮しているのかどうかという道義的責任は発生する。

 例2
 銀行マンだと名乗る人が、専門知識を生かしたブログを個人の趣味で開いたとしよう。
 仮に、これからの金融業界について、不安な材料となる事柄を記事にしたとしよう。本人は、自らの財産は自らで正しく守って活用してほしいという思いを込めて書いたかもしれない。しかし、一部の人はそれを基に、先走った想像を膨らませるかもしれない。
 そのこと自体に関して、書き手の責任だけを追及することはできない。しかし、書き手としてそういう受け止め方をする人がいると言うことを念頭に置いた上で、表現方法を工夫するのは、道義的責任ではないだろうか。

 例3
 ネットワーク技術者だと名乗る人が、専門知識を生かしたブログを個人の趣味で開いたとしよう。
 本人は、技術的にこういうことが出来るので気をつけましょう、という善意で、他人のパソコンに侵入する方法を説明したとしよう。それ自体は法的に責められることではないかもしれない。
 しかし、自分が書いた記事で得た知識を悪用しようとする人間がいるかもしれないことを十分に考慮して書いただろうか?書くことが悪いとは言わない。けれど、そういう可能性を全く省みずに書いてしまったとしたら、どうだろうか。その善意は無駄になる。道義的責任は十分あるのではないだろうか?


 とはいえ、これはまだ話題として扱う対象が、人ではないのでマシかもしれない。けれど、同じことは私のいる業界でも日々ぶつかる問題だ。
 お客様と要件定義や仕様の打ち合わせをしても、こちらが専門的な事を説明する際には、相手に誤解のないように、相手が理解できる表現で、納得いくように説明する必要がある。同じ言葉一つとっても、開発者同士がイメージするものと、お客様がイメージするものは違う。同じ開発者同士であれば、1を言うだけで最低でも1、うまくいけば10伝わる。けれど、同じ事を説明して理解してもらうのに、専門家でないお客様には100の言葉を使うこともある。それは、相手が受け入れやすいように、分かりやすいように、親しみやすいように言葉を選び、説明を考えるからだ。いかにお客様に対して、こちらの考えている事が気持ちよくストレートに伝わるか、それは常に考える。それを考えなければ、お客様とのよい関係は保てないし、よい印象を持っていただくことも出来ないからだ。

 とかく人は、自分の専門分野について語りだすと、主観的になりがちだ。業界で一般的に用いられている用語や表現方法が、専門家でない人にとってどういう受け止められ方をするか、どのように解釈されるかを忘れがちになる。自分が書いた言葉を読み手がどう解釈するか、どういう感情をいだくか、どう反応するか、そこまで考えるのは並大抵の労力ではないかもしれない。けれど、読み手に自分の真意が伝わるような表現方法や言葉の使い方、提供の仕方を考える責任はあると思う。その業界に身をおく人間として、当たり前の表現方法や言葉が、業界の人間ではないに人にどういう印象を与えるか。難しい問題だが、真正面から取り組むべきことなのではないかと私は思う。

 たかがブログ、されどブログ。専門家と名乗って話す言葉の重みは、とても重い。ましてや、それが自分の身体や命にかかわることなのであれば、なおさらだ。


読み手に求められること

 専門家が書くブログ、その専門分野が自分にも関わりのあるものなら特に興味がわくだろう。書いてあることから、学んだり、びっくりしたり、腹が立ったり、ショックを受けたり、落ち込んだり、泣いたり、笑ったり、感動したり。でもそれは、専門家の書くブログに限らず誰のブログを読んでも同じはず。読み手に求められる道義的責任というのもやはりあるはずだ。
 読み手には2種類いると思う。
 一つは、ブログの記事に対して直接的にコメントやトラックバックを通して意見を言うもう片方の当事者。もう一つは、直接の当事者ではない二次的読み手というべきか、それらのやりとりや話の流れを見て、さらに係わり合いを持つ読み手。そこからいろんな繋がりが広がっていくのがこの世界のいいところだと思う。
 ブログに限らないが昔からいろんなところでよく見るのが、元ネタの書き手に対して、否定的な意見(この場合悪い意味ではない)や反論を述べる読み手を、 元ネタの書き手をかばうあまり、反論を述べた読み手に対して、総攻撃に近い形で叩く読み手。これはインターネットを何年やっていてもいなくならない。むしろ増えているような気がする。それらが全て悪意から出たものだとは言わない。善意である場合も多いだろう。けれど、善意だからといてって全てが許容されていいわけではないはずだ。

 人を攻撃するのは簡単だ。自分の主義主張や感情論だけをぶつけるのも簡単だ。でもそれはキャッチボールじゃない。暴投だ。相手のグローブがどこに構えられているのか、相手と自分との距離がどれほどなのか、それをよく見極めずに、今投げたい!と思ってひたすら投げる。前後の事実関係や、自分の目には見えていない事がるかも知れない事も度外視し、当事者同士の意志がどこにあるかを十分把握しないまま、表面に見える事象だけで物事を判断する。
 活発に意見を交わすのはよい。必要とあらば納得いくまでとことん議論を交わすのもよい。けれど、そこにはお互いに理解し合おう、相手の考えを理解しようという前提がない限り、ただのケンカだ。そこに交わされる言葉の意義は半減してしまうように思う。言葉とは押し付けたり、投げつけたり、嫌な思いをさせたり、痛めつけるためにあるんじゃない。あなたと私の心をつなぐためにあるんだ。
 傷つけられたから傷つけ返すのか?それだけで言葉を吐くぐらいなら、私は言葉を失う方がマシだ。ただひたすら、相手を責め、自分の義を主張するだけのやりとりに何の意味があるんだろうか。それならば、リアルでやればよい。リアルならまだ顔が見える。表情が分かる。口調が分かる。息遣いが聞こえる。言葉だけでは補えないものを与えてくれる。けれど、インターネットの世界では、文字しか相手を推し量る手段はない。リアル以上に言葉に敏感であってもいいんじゃないだろうか。


*** * ***


 自分が誰かに何かを書こうと思った時、正しいと主張したいことを書こうとした時、

      あなたには、相手の顔が見えていますか?
      あなたには、相手の表情が見えていますか?

 それが見えないなら、一度その言葉を寝かしてみよう。それでもそれが言うべきことだと思うなら、相手の顔を思い浮かべながら、相手の表情を思い浮かべながら書こう。そうすれば、少しは、人を傷つけるかもしれない言葉を減らせるんじゃないだろうか。誰にでも失敗はある。ついカッとなってしまうこともある。でも、心がけることでずいぶん変わってくるんじゃないだろうか。内容が正しくても、言い方一つで人は心を閉ざしたり、疲れてしまったりする。
 もしかしたらあなたの言葉で誰か傷つくかもしれない、もしかしたら傷ついた誰かをかばうための言葉で、さらに他の誰かを傷つけることもあるのだと思おう。あなたのパソコンにつながったネットワークの向こうにいる誰かには、心も顔もあるんだ。


 人はちょっとしたヒトコトで喜び、癒される。
 そこには、心があるから。
 逆もまた然り。



【追記(2004/9/19 PM)】
28考 -紙人ニッパチ号with鮪人28号、二重発酵中-の98765421さまの「議論→ヨコの会、復活案→blog」記事をリンクしておきます。テーマのメインはヨコの会についてですが、ブログ上で意見を交わすこと、話し合うことについての参考になるかと。
by harvestrain | 2004-09-14 20:55 | ◆戯言の肴は私想
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