うちの社長がよく口にする。社長は自他ともに認める理想主義者。理想を追い求めるのは、間違っていないと思うし大事だとは思う。今やっていることのゴールが明確になるためにも、『理想』は必要なんだろう。
それは分かるけど、理想を求めることと現実を打破することが衝突することはよくある話である。その時にどうするかが、「ただの」理想論で終わるのか、「意味のある」理想論なのかの違いではないかと思う。
こういう会社を作りたい!という理想は分かる。その理想論から行くと、当然ながら「社員は財産である」となるのもわかる。でも、こういう会社を作りたいという最終形にたどり着くまでの道すがらに転がる数々の障害を乗り越えるために講じる手段が、結果的に「社員は財産である」という理想を、見事に裏切っている。
イヤなら辞めろ。
意見が合わないなら、辞めてくれていい。
君が辞めたら、別の人間を探すまでだ。
それは間違ってはいないと思う。組織である以上、組織としての方向性や、やり方、考え方、切り捨て方がある。社長であり最高責任者であるなら、それらを決定し、それらにそぐわない障害は排除すべきだろう。そこに最高責任者としての権力行使があるのは当然である。
結局、上のほうでどんな問題が出ていて、それに対して出た回答にいたるまでの経緯は、私には分からない。完全に推測の域と、切り捨てられる側の人間の話しか聞いていない。だから、公平な目で判断しているわけではないが、財産としての社員に対する扱いとして、今までの働きや、担っている責任範囲、その人がいなくなることによって、どれだけ影響が出るかを本当に考えて、切り捨てているのかどうか、そこがすごく疑問だ。