フォトコンテストに応募してみました。
時を重ねて
23年前、今の実家のある家に引っ越してきた時は、
まだ、小さな庭の植木だったのに、
いつのまにか、主のようにでっかくなり。
#投稿作品
貴方がいるこの家に引っ越してきのは小学校に上がる少し前。
貴方に出会ってから、もう23年経ちます。
昔の貴方のは、
子供の私がすぐ側でちょっと首をかしげて見上げれば
視界に入るぐらいの大きさだったのに、
今の貴方は、
大人の私がちょっと離れて首を真上に向けないと
視界に全部入らないぐらいに大きくなりましたね。
秋になると、花が満開に咲き、辺りいちめんに金木犀の香りが漂う。
貴方の放つむせ返るほど濃厚な香りが、秋晴れの空に華やかさを添えています。
何度も父に枝を刈られながらも、
いつのまにか、貴方は枝葉を思いっきり伸ばしてとても大きな木になり、
今では、2階の部屋の窓を開けると目の前に貴方がいます。
気がつけば、いつも秋の目覚まし時計は、
貴方の手に群れるたくさんのスズメたちが賑やかに語らう声。
昔は、この目覚まし時計がうるさくて嫌だったけど、
家を出てから数年が経ち、久しぶりに帰ったこの日は心地よい目覚ましでした。
私も、大人になり、
両親も、年を取ってちょっとか細くなり、
祖父母も、さらに年を重ねちょっと弱々しくなり、
貴方も、我が家の庭の主として立派な貫禄のある姿になり。
今では、貴方の下から見上げた木漏れ日の差す景色が
なんだか懐かしいような、ホッとするひとときをくれました。
あれから、また数年が経ちます。
そろそろ、夫を連れて貴方に会いに行きます。
それまで、元気でいて下さい。